
相棒というバグを除去してソロ・デプロイ! 原始定款に込める俺の生存戦略!
問 横浜市内のIT事業者Aでエンジニアとして15年間勤務したBは、長年の仕事上のパートナーCに開業資金200万円を横領される被害に遭いながらも、当初の予定どおり、起業後1年間はレガシーシステムのウェブシステム化や社内FAQ等を参照させるAIチャットボットの制作の受託によって実績を積み、徐々に高単価の案件も獲得していくという方針で、いわゆる1人会社を設立することを決意した。Bが横浜元町のS行政書士事務所を訪問しても、特定行政書士Sはいつも関内で遊んでいて不在であったが、その代わり、秘書のHが懇切丁寧に対応にあたったことで、Bは徐々に会社設立手続に対する理解を深め、ようやく設立登記を見据える段階までこぎ着けた。
以下の文章中の空欄A乃至Gに適切な語句を入れると、公証役場で認証を受ける必要がある原始定款についてのBとHの会話となる。文章中の空欄に入る語句の組合せとして正しいものはどれか。
H:Bさん、おつかれさまです! Cさんの件等、本当にいろいろありましたが、ようやくここまで来られましたね!
B:Hさん、ありがとうございます。正直、心が折れかけましたが、本当にHさんのおかげです。私1人だったら、今頃、どこかに再就職していたかもしれません。S先生も……お会いしたことはありませんが、とりあえずありがとうございます。
H:そう言っていただけて、とっても光栄です! 岩田も今頃、関内でドヤ顔していると思いますよ! うふふ♪ さて、設立に向けた最後のヤマ場として、原始定款の作成・認証が残っています。
B:原始定款……? すみません、用語に疎くて……何のことですか?
H:聞き慣れない言葉ですよね。定款というのは、会社の憲法あるいはルールブックといった意味合いです。そして、会社設立のために最初に作る定款のことを原始定款というんです。
B:なるほど、会社の憲法ですね。分かりました。であれば、僕も守らなきゃいけませんね。
H:はい。紙の定款を作ってしまうと、印紙税法上、収入印紙代4万円の費用が発生してしまいますが、電子データで作成すれば印紙代が発生しません。電子定款で進めてよろしいですか?
B:もちろんです。4万円は大きいですからね、助かります。
H:ありがとうございます。それでは、定款の内容について、具体的に考えていきましょうね! 【 A 】が公開している1人会社用のひな型があるのですが、わたしとしても、何度かBさんと打ち合わせをしてきたことで、Bさんがイメージする会社の成長曲線が見えてきているんですけど、この1人会社用のひな型をそのまま使うと、数年後に【 B 】の人数が増えるたびに【 C 】が必要になり、手続負担に加えて登録免許税や【 D 】報酬といった追加費用が発生してしまいそうです。
B:それはもったいないですね。
H:ええ。不備なく迅速に会社設立にこぎ着けたいというかたにはお勧めなのですが、Bさんから既にいろいろお聞きしているわたしとしては、これをそのまま利用するよりも、Bさんのイメージに寄せる方向でカスタマイズしたほうがいいのではないかと思うんです。
B:ぜひお願いします。後でバタバタしたくないですから。
H:では、現在のBさんお1人体制での【 E 】の迅速性を確保しつつ、将来、【 B 】が3人に増えた状態にも耐え得るハイブリッド仕様という方向性でのカスタマイズをご提案していきますね? 【 A 】のひな型をご覧ください。一緒に各条項を確認していきましょう。まず、第1条の商号ですが、類似商号の調査等を丁寧にやっていただき助かりました。IT業界は似た名前が多いですからね。
B:あはは、そこはエンジニアの性で、徹底的にググってドメインの空きまで確認しました。
H:素晴らしいです。ここには、Bさんがお決めになった商号に「株式会社」を冠して記載することになります。次に、第2条の事業内容ですが、たとえば、宅建業免許を受けて不動産仲介業を始めるかたであれば、ここに「宅地建物取引業」と書く必要があります。Bさんの場合は、レガシーのウェブシステム化やAIチャットボットの開発と、これらに関連するコンサル業務等を、将来の状況変化に対応できるよう幅を持たせて記載しておきますね。
B:お願いします。将来は企業内研修とか教育事業もやりたいなと思っています。
H:第3条の本店所在地ですが、番地まで記載してしまうと移転するたびに【 C 】が必要になってしまいます。ここは「横浜市」という最小行政区画までの記載に留めておきましょう。こうしておけば、横浜市内の移転であれば【 C 】が不要です。
B:移転のたびに数万円払うのは嫌ですからね。そうします。
H:第4条の公告方法は、自社サイトでの公表という方法も一応ありますが、今はあまり深く考えず、みなさん選ばれている「【 F 】に掲載する方法」でよろしいかと思います。
B:プロにお任せします。
H:第5条の発行可能株式総数ですが、Bさんは、当分の間、理念を共有する少数の仲間で事業を継続したいとおっしゃっていましたよね? ですので、発行可能株式総数100株、そして、第26条のデフォルト値としての設立時発行株式数10株、第23条のデフォルト値としての資本金100万円という構成は、そのまま利用していいのではないかと思います。
B:はい、それでお願いします。
H:第6条の株券不発行もそのままです。今どき紙の株券を発行するなんて、管理が煩わしいだけですからね。
B:そうですね、デジタルで十分ですね。
H:大事なのが第7条の株式譲渡制限です。ひな型では、株式譲渡には「【 B 】の承認」が必要となっていますが、これだと、将来、【 B 】が増えた際、Bさん以外の【 B 】も単独で承認できてしまうの?といった曖昧さが残ります。ここを「【 G 】の承認」に変えておけば、1人オーナーであるBさんが誰を仲間にするかについての最終決定権を握れます。
B:なるほど、経営権をしっかり守るということですね。
H:その通りです。株式譲渡制限を設けて非公開会社の形態をとることで、第19条のように、役員任期を10年まで伸ばすことができるようになります。2年ごとに役員選任に係る登記費用が発生することを防げますし、12条の【 G 】の招集も爆速でできるようになります!
B:そうですか。では、非公開会社でいきましょう。
H:はい。第8条の基準日は、会社はいつの時点の株主を株主として扱うかというお話で、デフォルトでは、「毎事業年度末日」となっています。事業年度については、第20条がデフォルトで3月締めと規定していますが、Bさんの都合で任意に決められます。消費税の免税メリットを最大限受けたいなら、このまま準備を進めて2026年4月に会社設立ということであれば、やはり3月締めが穏当ですね。第21条の剰余金の配当も、この基準日の時点での株主に対して行われることになります。設立日をいつにするかについては、Bさんも何か想い入れがあるかと思いますので、じっくり考えてくださいね。設立日が決まったら、それを踏まえて事業年度も任意にお決めになってください。
B:そうですね。Cの件でややもたつきましたが、2026年4月中の吉日を選んで決めようと思います。
H:第10条の【 G 】の招集時期です。毎年6月下旬頃は【 G 】ラッシュになりますが、デフォルトのまま3月締め・事業年度終了後3ヵ月以内にされるのであれば、Bさんも例外ではないということになりますね。ただ、Bさんの場合、当分の間、「歩く【 G 】」状態ですから、いつでも、どこでも、ご自分でお決めになればいいということになりますね。
B:ハハ、そういうことですね。
H:ただ、1人会社状態が永久に続くわけではありません。第12条の【 G 】の招集通知の5日前発送という部分は、【 E 】の迅速性を阻害するおそれがあります。ここは「2日前」に短縮したうえで、「株主全員の同意があれば、招集通知を省略することができる。」という一文を入れておきましょう。あと、書面決議もできるようにしておきます。
B:それは助かります。スピード感が大事ですから。
H:第13条の議長、第14条の決議要件も、当面はBさんの一存で決まります。ただし、第15条の議事録の10年保存義務の履行のため、データ管理体制をしっかり構築して、必要な情報に迅速にアクセスできる状態をキープしておきましょうね。
B:NASで厳重かつ体系的に整理して保管します。
H:頼もしいです。第16条は先ほども指摘した【 B 】の員数の規定です。デフォルトでは「1名」となっていますが、このままだと増員時に【 C 】が必要になってしまいます。ここは、さしあたり、「1名以上3名以内」としておきましょう。
B:おお、それなら仲間を誘いやすいですね。
H:はい。あと、現時点ではBさんお1人が株主であり、代表取締役でもあるという状態ですが、将来、【 B 】が複数人になった際、誰が代表者なのかで揉めないよう、あらかじめ、代表者の選定方法についても、「【 B 】の互選により代表取締役1名を選定できる」と規定しておきましょう。これで将来を見据えた拡張性もバッチリです!
B:おお、そうですか。ありがとうございます!
H:第17条は、原則として、会社の所有と経営を一致させていますね。18条は【 B 】選任の際の決議要件を規定していますが、当分の間、【 B 】の選任もBさんお1人で決めることができます。第19条では、非公開会社の形態をとったことで、【 B 】の任期を10年まで伸長することが可能となっています。ただ、これを先ほどはメリットとしてお伝えしましたが、たとえば、VCから出資を受ける際等には役員任期の短縮を求められることもありますし、仲が悪くなった役員を解任することなく任期満了で円満退場させられるという意味では、あえて役員の任期を短くしておくという判断もあり得るところです。Bさん、いかがですか?
B:手続が楽な10年でお願いします。余計な事務作業は減らしたいです。
H:承知しました。第23条は先ほども少し触れた資本金です。デフォルトの100万円でよろしいかと思います。Cさんの件は災難でしたが、全額を預けていなかったことは本当に不幸中の幸いでした。
B:……本当ですね。全部預けていたらと思うとゾッとしますよ。
H:第24条は最初の事業年度の期間です。事業年度が決まり次第、わたしが修正しておきますね。第25条と26条には、発起人兼設立時【 B 】としてのBさんの情報を記載していただくことになります。
B:ふ~、やっと終わった。ありがとうございます。
H:あ、Bさん、あともう一点だけ。実質的支配者となるべき者の申告書の提出も必要です。
B:実質的支配者……なんだか仰々しい名前ですね。黒幕か何かですか?
H:ふふ、そうですね。暴力団排除やマネーロンダリング防止の観点から、その会社の真のオーナーが誰かを公証人に報告する必要があるんです。
B:なるほど。僕の場合は1人で会社の株式を100%持つわけですから、僕が怪しい人間じゃないってことを申告すればいいのかな?
H:ご理解が早くて助かります! Bさんが誠実なエンジニアであることは私が保証しますけど、【 A 】にはしっかり書類で示さないといけませんからね。
B:Hさん。なんだか、会社が形になっていくのが実感できて、ワクワクしてきましたよ!
H:そのワクワクを形にするのが私たちの仕事です。では、後ほど原始定款のドラフトをメールでお送りしておきますね!
B:お願いします!
1 Aに公証役場、Eに資金調達
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