
1 フリーランス法上の実効性確保手段の違いは、規制の法的性質から導こう!
問 次の文章は、とある法律家Sと起業家Aの会話である。①から⑦までの空欄に、後期のアからキまでの語句・文章のうち適切なものを選んで入れると、フリーランス法の実効性確保手段に関する法律家Sの考え方を示すものになる。①から⑦までの空欄に入れるべき文章の組合せとして適切なものはどれか。
法律家S 本日も、お忙しいなか弊事務所にお越しいただき、ありがとうございます。
起業家A よろしくお願いします。
法律家S 前回まででフリーランス法のご説明はだいたい終えたのですが、実効性確保手段のお話が少し残ってしまいました。これまでのお話はご理解いただけてます?
起業家A はい、たぶん。
法律家S それでは、実効性確保手段のお話に早速入りましょう。その前に、復習も兼ねてお聞きしますが、フリーランス法は特定受託事業者の就業環境の整備のためにどんな規制をしていましたっけ?
起業家A えっと、【①】だったかと思います。
法律家S そうですね。では、その中で、法が発注者の行為を直接規制している類型は何でしたっけ?
起業家A え~、【②】だと思います。
法律家S え?【③】も直接規制でしたっけ?
起業家A あ、違いますね。【③】は発注者に体制整備義務を負わせることによって間接的に規制するものでしたね。
法律家S そうですね。では、残りの【④】はどんな規制でしたっけ?
起業家A はい、【④】は、発注者に業務との両立に向けた配慮義務を負わせるものです。
法律家S そうですね。ここからが今日のお話ですが、発注者がこれらの規制に違反した場合、特定受託事業者たるフリーランスは、厚生労働大臣に対して、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができます。
起業家A へぇ。
法律家S 申出を受けた厚生労働大臣は、必要な調査を行ったうえで、法違反があると判断したなら、発注者に対して【⑤】としての指導・助言をすることができます。ここまでは、先ほど挙げられた規制のどれに違反した場合でも同じことです。
起業家A はい、ここまでは共通しているんですね。
法律家S ええ、次に違う点をお伝えしますと、この表をご覧ください。まず1点目として、先ほどお答えいただいた直接規制と【③】対策に係る体制整備義務に違反した発注者に対しては、厚生労働大臣は、違反を是正、防止するために必要な措置をとるべきことを【⑥】することができます。他方、【④】に違反していると認められる場合については、【⑥】の対象にはなっていません。【⑥】の法的性質も、先ほどの指導・助言と同様、【⑤】です。
起業家A へぇ。
法律家S 次に、2点目として、【⑥】を受けた発注者が、正当な理由なく【⑥】に係る措置をとらなかったときは、つまり、こうしなさいと【⑥】されたのに言うことを聞かなかった場合ですね、この場合、厚生労働大臣は、【③】以外の違反では、言うこと聞きなさいという命令を発することができます。命令の法的性格は、先ほどの指導・助言や【⑥】とは異なり、【⑦】です。他方、【③】に係る体制整備義務違反では、命令を発することはありません。【③】以外の違反では、厚生労働大臣は、【⑥】に対する不服従に対して命令を発するとともにその旨を公表することができますが、【③】対策に係る体制整備義務違反では、【⑥】に対する不服従があればその旨を公表することになるという違いがあります。
起業家A つまり、直接規制違反の場合と間接規制違反の場合で、実効性確保のための手段が違うということですね?
法律家S さすがAさん、鋭いです。罰則はAさんには無縁なお話ですし、細かいお話はお仕事をやりながら入れていけば良いでしょうから、さしあたり、フリーランス法のご説明はこんなところです。お身体に気をつけて、頑張ってくださいね。
起業家A はい!頑張ります!
| 的確表示義務 | 【③】防止体制構築義務 | 継続的業務委託における解除等予告義務 | 不利益取扱いの禁止 | 【④】 | |
| 直接規制はどれか | 直接規制 | 直接規制 | 直接規制 | ||
| 厚生労働大臣に対する法違反の申出 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
| 指導・助言の可否 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
| 【⑥】の可否 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 命令の可否 | 可能 | 不可 | 可能 | 可能 | |
| 公表のタイミング | 命令とともに可 | 【⑥】に対する不服従の場合に可 | 命令とともに可 | 命令とともに可 |
ア ハラスメント イ 継続的業務委託における育児介護等配慮義務
ウ 勧告
エ 募集情報の的確表示義務、ハラスメント防止体制構築義務、継続的業務委託における育児介護等配慮義務・解除等予告義務、フリーランス法違反を厚生労働大臣に申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止
オ 募集情報の的確表示義務、ハラスメント防止体制構築義務、継続的業務委託における解除等予告義務、フリーランス法違反を厚生労働大臣に申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止
カ 講学上の行政処分 キ 行政指導
1 ①エ④イ⑦キ
2 ②オ⑤キ⑦キ
3 ②エ④イ⑦キ
4 ③ア④イ⑦キ
5 ③ア⑥ウ⑦カ