
大事な思い出が牙を剥いた。でも、すべて弁護士に委ねるほど私は弱くない。
問 東京都内のITスタートアップに勤務するY(30歳 男性)は、かつて、最新のAIツールやデザイン手法をSNSで発信して数万人のフォロワーを有するインフルエンサーX(28歳 女性)と交際していた。Yは、Xとの交際期間中、Xとの楽しい思い出を記録に残すため、Xと合意のうえで、事あるごとに自身のスマートフォンでXの姿態を撮影したうえで、同人の姿態に係る画像(以下、「本件画像」という。)を自身が契約するクラウドストレージに蓄積していた。その後、両名はとある企業案件を受けるかどうかをめぐって口論となり、XはYに対して別れを切り出した。Yは、Xとの破局後もXのSNS等の投稿内容をチェックしていたが、Xが徐々に別の男性と親交を深めていると感じて憤慨し、自分を捨てた報いを受けさせる目的で、本件画像をXの氏名や同人のSNSアカウントへのリンクとともにアップロードした。Yがアップロードした画像のなかには、Yとの性行為を窺わせるXの全裸の画像に加えて、Xの顔にYが別人の全裸の画像を合成したもの(以下、「本件合成画像」という。)も含まれていた。
これに対し、高度なITリテラシーを有するXは、当初、専門家に依頼することなく自ら当該掲示板のコンテンツプロバイダAに対し、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(以下、「情報流通プラットフォーム対処法」という。)に基づく送信防止措置及び発信者情報開示命令の申立手続きを進めようと考えていた。しかし、同手続が思いのほか複雑であることに気づいたため、知り合いのインフルエンサーBから紹介された弁護士Cに被害を相談したところ、提示された報酬額があまりにも高額に思えたため、まずは知り合いの認定司法書士Dに相談してみることにした。
この事案に関する以下の記述のうち、司法書士Dが私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下、「リベンジポルノ防止法」という。)を正しく理解しているものの組合せはどれか。
ア 認定司法書士Dは、Xの主たる希望がYに対する慰謝料よりも本件画像等の公開停止にあることを踏まえ、情報流通プラットフォーム対処法だけでなく、リベンジポルノ防止法に基づく送信防止措置の申出もあり得ると判断した。Dは、Xに対して、リベンジポルノ防止法に基づく申立ての際には、①私事性的画像侵害情報、②名誉等が侵害された旨、③名誉等が侵害されたとする理由及び④当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨という4つの情報が必要であることを伝えた。
イ 認定司法書士Dは、Xに対して、XのAに対する送信防止措置の申出により、AはXの申出の内容をYに示したうえで、送信防止措置を講じることに同意するかどうかをYに照会する義務を負うことになると伝えたうえで、Aがかかる義務を怠ったときは、たとえAがXからの申出を受けるまでもなく、当該画像につき自発的に送信防止措置を講じていたとしても、Xに対する損害賠償責任を免れないと説明した。
ウ 認定司法書士Dは、Xに対して、本件画像が私事性的画像記録に該当することが明らかである場合、Xとしては、Aによる本件画像の削除等を合理的に期待し得るとXを励ました。他方、Aにおいて私事性的画像記録に該当するかの判断が困難な場合であっても、AがYに対してXからの申出に同意するかどうかをメールで照会し、当該メールがYに到達した日の翌日から起算して2日を経過してもYから不同意の申出がなかったときは、Aが本件画像等の削除等の送信防止措置を講じてもYに対して損害賠償責任を負わないため、情報流通プラットフォーム対処法に基づく申出よりも早期の削除を期待し得るとも説明した。
エ 認定司法書士Dは、Xに対して、リベンジポルノ防止法は、私事性的画像記録の流通によって自己の名誉又は私生活の平穏を侵害されたと主張する者に対して、情報流通プラットフォーム対処法上の送信防止措置に加えて、より被害者保護に厚い申出をも認めるものであると説明した。そして、名誉又は私生活の平穏という文言はあくまでも例示であって、たとえば、XのブランドイメージがYとのトラブルに起因して悪化したことによる経済的利益の侵害を理由とする申出も認められると説明してXを励ました。
オ 認定司法書士Dは、Xに対して、本件合成画像が申立人Xに係る私事性的画像記録に該当しない場合、Xは、たとえ本件合成画像により自身の名誉が侵害されているときであっても、情報流通プラットフォーム対処法に基づいて、Aに対して本件合成画像の削除等の送信防止措置の申出をする余地はないと説明したうえで、あなたの気持ちはわかると付け足した。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ