
私の知らない「私」が、ネットの海で一人歩きしている。
問 都内の国立大学に勤務するA(58歳 男性)は、同大学のゼミ生B(22歳 女性)との約1年間の交際期間中、ホテルの室内や自宅等において、Aのスマートフォンを用い、2人の合意の上で、あるいは、Bが眠っている間にBに無断で、Bの裸体や性交等の様子を記録した画像及び動画(以下、「本件画像等」という。)を多数撮影し、Aの端末内に保存していた。2025年12月、Bからの申し出により2人は破局したが、これに憤慨したAは、Bに対する復讐の目的で、保存していた本件画像等を、Bの実名や就職先情報とともに、不特定多数が閲覧可能なSNSやインターネット上の掲示板にアップロードしようとしている。
この事案に関する以下の記述のうち、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下「リベンジポルノ防止法」という。)の規定に照らし、正しいものはどれか。
1 Bは、本件画像等の撮影時点で、Aによる撮影行為を承諾していたのであるから、Bによる本件画像等の公表行為についても当然に承諾していたことになるので、本件画像等は私事性的画像記録に該当せず、Aに私事性的画像記録公表罪は成立しない。
2 本件画像等のうち、殊更にBの首筋を大写しにしただけの動画は私事性的画像記録に該当しない。他方、AがBのアキレス腱をなで続ける動画であれば私事性的画像記録に該当し得るが、アキレス腱をなでるだけでは善良な性的道義観念に反するとまではいえないため、いずれの動画も私事性的画像記録に該当しない。
3 Bから別れを切り出されて憤慨したAは、復讐の準備のため、本件画像等が記録された外付SSDを探したが、膨大な書籍や書類のヤマに埋もれてすぐには発見できそうになかった。この場合において、Aが自らの記憶を頼りにBの全裸のCGを制作して公表したときは、Aに私事性的画像記録公表罪が成立する余地はない。他方、スマートフォンの画像フォルダに1枚だけ残っていたBの全裸画像をPCに移したうえで、Photoshopで加工して公表したときは、元画像との同一性が認められればAに私事性的画像記録公表罪が成立し得る。
4 肢3の場合において、Aがスマートフォンの画像フォルダに1枚だけ残っていたBの顔写真をPCに移したうえで、別人のヌード写真と合成することにより、あたかもBの全裸画像であるかのようなコラージュ画像を制作したときは、第三者は撮影対象者をBと特定できることから、Aに私事性的画像記録公表罪が成立する。
5 肢3の場合において、Aがスマートフォンの画像フォルダに1枚だけ残っていたBの顔写真をPCに移したうえで、別人のヌード写真と合成することにより、あたかもBの全裸画像であるかのようなコラージュ画像を制作したときは、特定電気通信役務提供者において撮影対象者たるBからの申出であると判断できることから、Bは被害者の立場から特定電気通信役務提供者に対して本件画像等の削除等の申出を行うことができる。