
お願い、消して! 彼女の日常をこれ以上壊さないで!
問 私立黄天高校の2年生の女子生徒A(17歳)は、交際していた同級生の男子生徒B(17歳)から、人気漫画のストーリー解釈をめぐる口論をきっかけとして別れを告げられた。その1週間後、Aは同高校の最寄駅の駅前において、Bが後輩の女子生徒C(16歳)と抱擁している場面を目撃してしまった。Aは、Bが別れを切り出したのはCと交際するための方便であったと思い込み、B及びCに対する報復を決意した。Aは、Cが所属するテニス部の部室に高性能の小型隠しカメラを設置して更衣中のCの姿を撮影し、その画像及び動画(以下、「本件画像等」という。)を学校内外に拡散しようとしている。
この事案に関する以下の記述のうち、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下、「リベンジポルノ防止法」という。)に照らし、正しいものはどれか。
1 Aが、Bに対する嫌がらせの目的で、Cの乳首が露出している画像をBに対してのみメールで送信した場合、特定少数人に対する提供にとどまるため、Aに私事性的画像記録公表罪が成立する余地はない。また、公表目的提供罪についても、Aには、通常、Bをして公表させる目的が認められないため、ほぼ成立しないと考えられる。もっとも、Aが本件画像等を公表しないことの見返りとしてBに金銭を要求していれば、Aに恐喝罪が成立し得る。
2 Aは、本件画像等のうち、Cの乳首が露出しているものをポスターとして印刷し、これを近所の電信柱に貼付した。リベンジポルノ防止法上の私事性的画像記録等公表罪は、電気通信回線を通じて送信可能化する等の方法により公表した場合に成立するのであるから、Aが物理的な掲示物を用いて不特定多数人が閲覧できる状態においたとしても、同罪が成立する余地はない。
3 Aは、Cの乳首が露出している画像をインターネット上の匿名掲示板にアップロードしたが、その際、うっかり撮影対象者がCであることを記載し忘れた。Cの容貌は一般に広く知られておらず、撮影現場となった部室の内部を知る者も限られていることからすれば、一般人は撮影対象者をCと特定できないため、Aに私事性的画像記録公表罪が成立する余地はない。
4 Aは、自身が参加しているグループライン(参加者は50人とする)のトークルーム上に、Cの乳首が露出している画像をアップロードした。私事性的画像記録公表罪は、私事性的画像を不特定人に対して提供した場合に成立するところ、当該グループの参加者は管理者から招待リンクの送付を受けた者として特定されているため、Aに公表罪が成立する余地はない。
5 リベンジポルノ防止法上の私事性的画像記録公表罪の保護法益は、撮影対象者の性的プライバシーである。したがって、本件画像等が拡散される前にCがショックのあまり自死を遂げてしまった場合は、もはや保護すべき法益が欠如しているため、その後は誰が本件画像等をインターネット上に拡散させたとしても同罪が成立する余地はない。