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1 希望の家が建たない!? 第2種高度地区と媒介業者の説明義務!|東京地判平成21年4月13日改題【宅建士法定講習】
問 個人としてプライベートサロンを経営してきたXは、延べ100㎡程度の鉄骨造4階建の自宅兼サロンを建築するため、宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という。)Aとの間で、2024年5月6日、宅建業者Yの媒介により、神奈川県鎌倉市内の土地(以下、「本件土地」という。)を、売買代金2,830万円で購入する契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。あわせて、Xは、建築設計事務所Bとの間で、同年5月30日、本件土地上に建築する自宅兼サロンの建築設計契約を締結した。Yの宅地建物取引士Cは、本件契約に係る重要事項説明の際、本件土地の建蔽率、容積率、第2種高度地区内にあること等を説明したものの、同地区内にあることの具体的内容を説明せず、説明のための資料も添付しなかった。なお、当該重要事項説明にAは同席していない。
2024年9月10日、XはD工務店から、第2種高度地区内にある本件土地は、高さ5m以上の部分が斜線制限の影響を受けるため、延べ100㎡程度の建物の建築は不可能であるとの連絡を受けた。Xは、宅建業者Yに対して、説明義務違反を理由として損害賠償請求することを検討している。
この事案に関する以下の記述のうち、民法、宅地建物取引業法及び裁判例に照らし、正しいものはどれか。
1 宅建業者Yは、Xとの媒介契約に基づき、本件土地に関する法的規制を説明する債務を負うところ、自己責任原則に基づく自由競争社会においては、Yとしては、本件土地に関する法的規制の種類、名称等を告げれば足り、当該規制の具体的内容まで懇切丁寧に説明する債務までは負わない。法的規制の具体的内容の調査は、買主であるXが自らの責任において行うべきことである。
2 宅建業者Yは、Xとの媒介契約に基づき、本件土地に関する法的規制を説明する債務を負うところ、その内容としては、本件土地に関する法的規制の種類、名称等を告げるのみでは足りず、法的規制の具体的内容の説明を通じて、Xの希望どおりの自宅兼サロンが建築できるかについても説明しなければならないが、既に建築士から十分な説明を受けているときは、Yが重ねてXに説明する必要はない。
3 宅建業者Yは、Xとの媒介契約に基づき、本件土地に関する法的規制を説明する債務を負うところ、本件契約の目的が延べ100㎡程度の自宅兼サロンの建築にある旨を明確にYに伝えていた本件事情のもとにおいては、Yとしては、本件土地に関する法的規制の種類、名称等を告げるのみでは足りず、法的規制の具体的内容の説明を通じて、Xの希望どおりの自宅兼サロンが建築できるかについても説明しなければならない。
4 Xから述べ100㎡程度の自宅兼サロンの建築の相談を受けたYとしては、できる限りの調査をしたうえで回答すべきではあるが、専門的な調査が必要と判断した場合、必要に応じて、建築士等の専門家に相談することを提案するべきである。ただ、顧客に寄り添うという観点からは、建築が可能である旨をできる限り早期にXに伝えることによってXを安心させるべきである。
5 宅建業者Aが、Yの重要事項説明書に第2種高度地区の規制内容を説明する資料が添付されていないことを認識していたとしても、自由主義経済体制のもとでの自己責任原則からすれば、重要事項説明をしたのはYであり、Aではないのであるから、Aが本件契約の付随義務としての説明義務違反について債務不履行責任を問われることはない。