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隣接地をめぐる媒介業者の調査義務!

1 国有地の介在が接道も角地緩和も奪い、越境をプレゼント!|東京地判平成29年12月7日改題【宅建士法定講習】

問 貿易業を営むXは、宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という。)Aとの間で、2021年12月22日、宅建業者Yの媒介により、東京都豊島区内の土地(以下、「本件土地」という。)及び建物(以下、「本件建物」という。)を、売買代金1億5千万円で購入する契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。Yの宅地建物取引士Bは、本件契約に係る重要事項説明の際、本件土地は西側の公道に接する角地であると説明し、売買代金も本件土地の建蔽率の角地緩和を前提として決められていた。しかし、2025年9月1日、本件土地と公道の間に国有地が存在することが確認されたことで、本件土地は接道義務を満たさないことに加えて、建物が西側の国有地内に越境していることが判明した。Xは、宅建業者Yに対して、調査・説明義務違反を理由として損害賠償請求することを検討している。
この事案に関する以下の記述のうち、民法、宅地建物取引業法及び裁判例に照らし、正しいものはどれか。

1 本件土地の西側に境界標が設置されておらず、また、本件建物の南北に公道までの距離を本件建物と同じくする建物が一列に並んでいた場合、Yが国有地を公道の一部と認識することも無理からぬものがあるため、Xの損害賠償請求は棄却される。
2 本件契約時点で国有地の地積測量図が存在していた場合であっても、本件土地の地積測量図が存在しなかったのであれば、本件建物が国有地上に越境していることの認識可能性がないため、Xの損害賠償請求は棄却される。
3 本件契約が公簿売買であって、本件契約にあたり新たに測量をしないことをXも了承していた場合、Xは本件契約の目的たる土地建物を取得できているわけであるから、Xの損害賠償請求は棄却される。
4 本件契約の時点で、公道と国有地を区別して描く公図が存在していた場合において、国有地の地積測量図も存在していたときは、本件建物の国有地上への越境の可能性を疑うべきであるから、XはYに対して、国有地の取得費用の賠償を請求できるが、本件契約が公簿売買であるときは、角地緩和を前提とする価格と適正価格との差額も請求できる。
5 本件契約の時点で、公道と国有地を区別して描く公図が存在していた場合において、国有地の地積測量図も存在していたときは、本件建物の国有地上への越境の可能性を疑うべきであるから、XはYに対して、国有地の取得費用の賠償を請求できるが、特段の事情がない限り、国有地買取交渉を強いられたことについての慰謝料までは請求できない。

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