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1 東京地判令和3年4月13日改題【宅建士法定講習】
問 土木建築業を営むXは、不動産賃貸業を営むYとの間で、2025年12月15日、東京都目黒区内の居住用建物(以下、「本件建物」という。)を、売買代金2億8,000万円で購入する契約(以下、「本件契約」という。)を締結し、同月31日、引渡しも完了した。本件契約には、売主は、雨漏り・シロアリ・建物構造上主要な部分の木部の腐食及び給排水管の故障であって、引渡しから3ヵ月以内に請求を受けたものに限り契約不適合責任を負う旨の特約(以下、「本件免責条項」という。)が付されている。
Yは長らく本件建物の管理を不動産管理会社Aに委託してきたが、Aは消防署に対する消防用設備等点検結果報告書の提出事務等を不動産管理会社Bに再委託している。本件建物は消防法上の特定防火対象物に該当するため、避難はしご等の消防用設備を一定の基準を遵守して設置・維持することが義務づけられている。2022年10月25日、AはBが作成した消防用設備等点検結果報告書をYに送付しているが、同書面には、①錆と腐食により避難はしご等避難器具の脱落のおそれがあるため改修が必要である、②旧型の誘導灯は新型への交換を推奨する、③連結送水管の耐圧性能試験の実施が必要であるとの指摘があった(以下、「本件不具合」という。)。Xは本件契約に先立ち、本件建物を内見しているが、入居者が在宅中であったため、避難器具が設置されたベランダを含む居室部分の確認ができず、また、Yも本件不具合についてXに説明しなかったため、Xは本件不具合の存在を具体的に認識しないまま本件契約の締結に至ったものである。2026年7月25日、定期点検報告書に目をとおして本件不具合の存在に気づいたXは、Yに対して、契約不適合責任を追及することを検討している。
この事案に関する以下の記述のうち、民法、宅地建物取引業法及び裁判例に照らし、正しいものはどれか。
1 本件不具合に気づいた時点で引渡しから3ヵ月を経過している以上、XがYに対して契約不適合責任を追及する余地はない。
2 本件不適合は、雨漏り・シロアリ・建物構造上主要な部分の木部の腐食・給排水管の故障のいずれにも該当しない以上、XがYに対して契約不適合責任を追及する余地はない。
3 Xが土木建築業者として20年以上にわたり多くのリフォームを手掛けてきていた場合において、本件不具合に気づかなかったことについてXに過失が認められるときは、XがYに対して契約不適合責任を追及する余地はない。
4 Aが、本件不具合の内容が記載された消防用設備等点検結果報告書をYに送付している以上、特段の事情がない限り、本件免責条項の適用はない。もっとも、XがYに対して請求できるのは、避難はしごの交換費用に限られる。
5 本件契約が媒介業者Cの媒介によって成立していた場合、対象不動産の消防法違反の事実を想定した積極的な調査義務まで媒介業者に負わせることは媒介業者に酷な結果となるため、XのCに対する損害賠償請求が認められる余地はない。