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私道は・・・全然大丈夫じゃない!法的勝利を打ち砕くモンスター隣人!

1 東京地判平成29年5月11日改題【宅建士法定講習】

問 個人投資家Cは、2015年10月15日、東京都豊島区内の訳ありの土地(以下、「本件土地」という。)を安値で購入したうえで、翌2016年11月22日、本件土地の前面道路(位置指定道路)の所有者にして隣地所有者であるDとの間の通行権・掘削権確認訴訟に勝訴した。もっとも、判決文からは、敗訴後もDが判決内容に従わない可能性や、本件土地上での建物建築を妨害する可能性が窺えた。2017年9月20日、Cは本件土地を宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という。)Aに売却し、2018年11月15日、Aが本件土地を、マイホーム建築用地を探していた地方公務員Xに対して、売買代金4,980万円で転売(以下、「本件契約」という。)したのが本件である。
本件契約に先立ち、Xが、媒介業者Yの専任宅建士Bに対して、「私道はトラブルが多いけど大丈夫?」と尋ねたところ、「既にCD間の訴訟でCの勝訴判決がでていますから、法的な問題はクリアされています。」と答えている。また、BはYの事務所でXに対する重要事項説明を行った際も、「判決により無償の通行権と掘削権を確認しております。」と記載された重要事項説明書を読み上げている。もっとも、契約前に判決文の内容を伝えればXが購入を控えるおそれがあるため、Aの担当者との合意のもと、Bは契約締結前に判決書をXに見せないようにしている。
2019年1月20日、Xは工務店Eとの間で自宅の建築請負契約を締結し、2月3日からEによる工事が開始されたが、ほどなくして、Dによるクレームが入るとともに、以後、工事車両の駐車を妨害され続けた。2019年7月6日、Xはやむなく自宅建築を諦め、本件土地をFに売買代金4,020万円で売却した。Xは、契約締結前にYからDによる妨害の可能性の説明を受けていないとして、説明義務違反を理由とする損害賠償請求訴訟を提起することを検討している。
この事案に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。

1 不動産業界の取引慣行として、買主に対する重要事項説明は、買主自ら依頼した媒介業者が行うものと決まっているのであるから、本件土地について説明義務を負うのはYのみであり、AがXとの関係で説明義務を負うことはあり得ない。
2 取引対象不動産の隣地所有者の性格や、前主を当事者とする訴訟の判決文が、宅建業者が宅建士をして説明させなければならない重要事項に掲げられていないことは法文上明らかであるから、これらの説明を欠いてもYに説明義務違反は認められない。
3 YがXに対して説明すべき重要事項とは、宅地建物取引業法35条1項所定の事項に限られるものではなく、本件契約との関連性が認められる限り、Xに重大な不利益をもたらすおそれがあるかや、Xの契約意思に影響を及ぼすことが予想されるかどうかにかかわらず、YはXに対して正確に説明しなければならない。
4 Dによる妨害行為が現実化すれば、Xによる自宅建築工事が進まないだけでなく、完成後もDとのトラブルが予想され、自宅としての利用を望むXの購入動機に合致しない。また、本件土地を転売するとしても、購入価格を超える価格がつく見込みは薄いであろうし、Eとの関係では建築請負契約の解除に伴う違約金の支払いも発生するであろう。したがって、AはXから私道のトラブルについて説明を求められたかどうかにかかわらず、信義則上、Yを介する等して、私道のトラブルの有無・可能性等について説明する義務を負う。
5 YがXに対して説明すべき重要事項とは、宅地建物取引業法35条1項所定の事項に限られるものではなく、Xに重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識している場合、YはXに対して、当該事項も正確に説明しなければならない。

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