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地面師詐欺の最新手口と媒介業者の調査義務!

1 他人物売買における媒介業者の調査義務|東京地判平成30年3月29日改題【宅建士法定講習】

問 宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という。)Xは、東京都豊島区内の土地(以下、「本件土地」という。)について、登記簿上の所有者Aから本件土地の所有権を譲り受けたと主張するBとの間で、宅地建物取引業者Yの媒介により、売買代金1億円、引渡期日を2026年2月3日とする売買契約(以下、「本件売買契約」という。)を締結することになった。2025年12月28日、Xの担当者Cが契約書の取り交わしのためBの事務所を訪問したところ、急遽、契約場所がYの事務所に変更されたことを伝えられた。その際、CはBのメールボックスにBとは異なる社名が表示されていることに気づいたが、同日、本件売買契約はYの事務所内で予定どおり成立した。なお、Xは、本件売買契約に係る手付金500万円の振込を既に終えている。
この事案に関する以下の記述のうち、民法、宅地建物取引業法及び裁判例に照らし、正しいものはどれか。

1 Bが提出したAB間の売買契約書は、Bによって偽造されたものであることが判明した。これにより、Bから本件土地の所有権を譲受けることができなくなったXとしては、媒介業者Yに対して既に振込んだ手付金500万円の返還を請求したいところであるが、XY間の媒介契約について契約書が作成されていないのであれば、Xの請求が認められる余地はない。
2 Xが、本件土地の移転登記手続を知り合いの司法書士Dに依頼してある場合、DがBの本人確認を十分行うであろうから、重ねてYがBについて本人確認を行う必要はない。
3 本件売買契約は、その締結の時点で、Bが本件土地の所有権者ではない他人物売買である。しかし、他人物売主も真の権利者から権利取得したうえでこれを買主に移転する義務を負うことから、Yは通常の取引と同程度の調査を尽くせば足りる。
4 本件売買契約が買主にとって相対的にリスクの高い他人物売買であることに加えて、契約当日の契約場所の変更やBのメールボックスの不自然な表示を踏まえれば、媒介業者Yとしては、Aの売却意思をBが提出した売買契約書に記載された媒介業者Eに連絡する等して確認すべきであった。とはいえ、不動産取引のプロである宅建業者Xが宅建業者Yを軽信して本件売買契約を締結した以上、XはYに対して損害賠償請求をすることはできない。
5 本件売買契約が他人物売買であることに加えて、AB間の売買契約の有効性に疑念を抱くべき客観的事情も認められた以上、媒介業者Yとしては、Aの売却意思をEに連絡する等して確認すべきであった。とはいえ、Xも宅建業者なのであるから、YがAB間の譲渡の有効性についてどの程度の調査をしたかを確認し、必要に応じてYに追加調査を要請することもできたはずである。にもかかわらず、Yを軽信したXは、Yに対して、手付金相当額500万円全額の賠償を請求することはできない。

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