
1 フリーランス法の対象は誰?特定受託事業者の定義と適用範囲
問 Webデザイン業を営むAが、従業員50名を抱えるIT企業B社から、特設サイト制作を納期1ヶ月で依頼された場合(以下、「本件委託」という。)に関する以下の記述のうち、特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」という。)。に照らし適切なものはどれか。
1 Aが個人事業主であっても、アルバイトCを雇用して週15時間勤務させていたのであれば、従業員を使用しないものとはいえないため特定受託事業者に該当せず、AB間の本件委託にフリーランス法が適用される余地はない。
2 フリーランス法は事業者間の業務委託契約に適用されるところ、Aが個人事業主として活動するかたわら、Webデザイン事業者Dとの間で雇用契約も締結していたのであれば、Aが個人として受注した契約についてフリーランス法が適用される余地はない。
3 Aが法人である場合において、代表取締役Eに加えてその妻Fも取締役に就任していたときは、たとえAが従業員を1人も雇用していなかったとしても、AB間の本件委託にフリーランス法が適用される余地はない。
4 Aが法人である場合において、1人も従業員を雇用していないのであれば、たとえ週所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上役務提供を受けることが見込まれる派遣労働者Gを受入れていたときであっても、AB間の本件委託にフリーランス法が適用される。
5 Aが個人事業主である場合において、1人も従業員を雇用していないときであっても、Aと同居するAの母HがAの事業を日常的に手伝っていたのであれば、Aが従業員を使用しているものとして、AB間の本件委託にフリーランス法が適用される余地はない。
2 フリーランス法が適用される「業務委託」とは?
問 写真撮影業を営むA(従業員を使用していないものとする。)が、従業員100名を抱える不動産事業者Bから、物件のパンフレットに掲載するための画像の撮影業務を依頼された場合(以下、「本件委託」という。)に関する以下の記述のうち、特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」という。)に照らし適切なものを組み合わせたものはどれか。
ア フリーランス法は、特定受託事業者とその相手方である業務委託事業者の間で締結された業務委託契約に適用されるところ、不動産事業者Bの定款の目的欄にパンフレットの作成という記載がないのであれば、本件委託はBの事業のための委託とはいえないため、フリーランス法は適用されない。
イ Aが不動産事業者Bの取締役としてBとの関係で受任者の立場にたつ場合であっても、写真撮影業との関係では、AはBにとって他の事業者といえるため、本件委託にフリーランス法が適用される。
ウ 本件委託契約の締結後、Aは交通事故により撮影業務を行えなくなってしまった。しかし、Aは別件で当該物件の外観・内装を撮影したことがあり、画像データも適切に保管されていたとする。この場合、Aが自ら著作権を有する物件画像の使用をBに許諾しただけでは本件委託にフリーランス法は適用されないが、著作者人格権不行使特約も締結すれば同法が適用される。
エ 国又は地域をまたがる業務委託であっても、その全部又は一部が日本国内で行われたと評価できる場合にはフリーランス法が適用される。したがって、日本に居住するAが海外に所在するBから本件委託を受けた場合や、撮影対象不動産が日本国内の物件である場合には、フリーランス法が適用され得る。
オ 日本に所在するBが海外に居住するAに対して本件委託を行った場合であっても、委託が日本国内で行われたと評価できるときは、なおフリーランス法が適用され得る。
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
3 フリーランス法で私のクライアントは義務を負う?「業務委託事業者」の定義
問 イラストレーターとして活動するA(従業員を使用していないものとする。)が、事業者Bから同社のPRキャラクターのイラスト制作を依頼された場合(以下、「本件委託」という。)に関する以下の記述のうち、特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」という。)に照らし適切なものはどれか。
1 フリーランス法は、発注者に対して、書面等による取引条件明示義務だけでなく、支払期日における報酬支払義務も課していることから、事業者Bが個人事業主であり、かつ、従業員を1人も雇用していない場合であっても、BはAに対して常にこれらの義務を負う。
2 フリーランス法は、発注者に対して、書面等による取引条件明示義務を課しているが、Bがかかる義務を果たさないからといって公正取引委員会又は中小企業庁長官に申し出れば報復を受けるおそれがあるため、Aとしては慎重に身を処する必要がある。
3 フリーランス法は、事業者間の情報収集力や交渉力の格差を踏まえてフリーランス個人を保護することを目的としている。そうであれば、AだけでなくBも個人事業主である場合には、契約当事者間に力の不均衡はないことから、本件委託にフリーランス法は適用されず、Bは書面等により取引条件をAに明示する必要はない。
4 本件委託の成立にマッチングサービス事業者Cの関与があった場合であっても、CがBから受託した業務をAに再委託するものではなく、Cの関与の程度がBとAのマッチングのための場の提供にとどまるものと評価できるときは、業務委託事業者に該当しないCにはフリーランス法は適用されない。
5 自治会役員を兼ねるAは、区役所からの懇願を断り切れず、やむなくイラスト制作の合間に国勢調査員として調査票を配布してまわることとなった。国勢調査は国の基幹調査として政策立案の基礎資料に供される重要な事業であるから、その調査票の配布委託にもフリーランス法が適用される。したがって、区役所は委託の際、Aに対して書面等により取引条件を明示しなければならない。