Generative AI

国際物流とAI実装――熟練通関士の職人芸の若手への継承!

定年退職しない熟練通関士を育てたい!

S:A社長、お久しぶりです。エージェンティックAI、つまり自律的に通関書類を作成・チェックするAI通関士の導入相談ですね。非常に難易度が高いですが、やりがいはあります。まずは業種特性から確認させてください。
A:ええ。うちは港湾での国際物流・通関業です。扱うタスク内容は、輸出入申告書の作成補助ですが、単なる定型作業じゃありません。品目分類(HSコード)の特定等、その時々の状況を踏まえた複雑な判断までAIに求めています。
S:そこが肝ですね。AIに機械学習させる過去のデータの量はどうですか? 紙の状態のままなのか、デジタル化までは済んでいるのか、アノテーションまで終わっているのか、いかがですか?
A:過去10年分の申告データがPDFとXMLで残っています。ベテランが手を入れた修正済みデータも揃っています。これらを既存モデルの追加学習に使ってうちの流儀を教え込みたいわけです。ただ、最新の関税率や輸出規制は変わっていくものですから、そこはRAG(外部参照)で補う併用スタイルが良いのではないかと思っています。
S:なるほど。ただ、外部の動的な情報を取得するためにはサンドボックス内からのAPI利用が前提となりますが、そこは許容範囲内なのでしょうか?
A:やむを得ないと考えています。ただし、顧客情報は絶対に外部に漏洩させてはなりませんから、セキュリティの要求水準は基本的には完全オフラインとし、動的情報の取得時のみ特定のルートに限定してアクセスを認める形にしたいと考えております。
S:承知しました。となると、完全オフラインのローカルAI環境を構築するための高性能PCが必要となりますね。
A:そういうことになりますね。PCの故障や停電からの機能回復といったBCP的観点からすると、PCの冗長性も必要かと思います。
S:UPS(無停電電源装置)と暗号化された自動バックアップ環境をセットで組みましょう。次に、運用のルールについてですが、このサンドボックス内にアクセスできる役員・従業員の範囲はどう限定しますか?
A:当分の間、通関士資格を有するリーダー3名と私に限定しておくべきだと思います。若手はノリノリでAI受容度が高めなのですが、ベテランは「機械に何がわかる」みたいに冷淡ですから、まずは私が選抜したメンバーだけで運用します。
S:サンドボックスへのアクセス権限を絞るということであれば、検収者の適格性の判断基準についても、当分の間、通関士有資格者に絞るべきですね。AIが出力したドラフトを検収者が最終確認するための時間的余裕を現在の業務フローで確保できそうですか? 時間に追われてしまうとミスも起きがちになりますので。
A:社員の代わりにAIがドラフトを作ることで、既存の業務フローを前提としても時間的余裕が生じるはずです。その浮いた時間を検収に充てます。あと、AIが間違えた時には人間が修正することになりますが、その修正結果をJSONL形式・Markdown形式・CSV形式のいずれかで保存して、次回のモデルの追加学習にフィードバックする仕組みは絶対に欲しいですね。使えば使うほど賢くなるAIであって欲しいんです。
S:現場の士気も高まりそうですよね。追加学習によって制作した御社の独自モデルの権利は会社に帰属すると契約書に明記しておきましょう。モデルの指揮者としては、OpenClawの利用をご希望ですか?
A:はい、何やら評判が良いものですから、情報漏洩やマウントを防止するための初期設定をしっかり行ったうえで飼い慣らしたいと考えています。
S:AIが暴走してオリジナルデータが削除されたなんて話も既にSNSにはあがっていますから、初期設定には細心の注意を払いたいところですね。エージェントとNACCSとの連携については、APIがなければRPAによる疑似操作になりますが。
A:今のところAPI公開が限定的なので、RPAで画面を叩かせるしかないでしょうね。起動トリガーは、特定の共有フォルダにインボイスのPDFが放り込まれたら自動で動くようにしたいです。
S:なるほど。そこで重要になるのがAIに認める権限です。閲覧のみに限定するのか、あるいは、作成・送信まで認めてしまうのか…。
A:恐ろしい(笑)。送信ボタンは絶対に人間です! 人間による最終確認を必須とし、AIには参照した関税率表の条文番号等、判断の根拠を常に明示させます。これがないと怖くて判が押せません。
S:そうですよね。加えて、通関業法の観点からは、AIが通関士を名乗ることはできませんから、AIの役割はあくまでも書類作成補助にとどまります。さらに、御社によるAI利用の事実を対外的に公表して透明性をアピールすることも考えられますが、いかがですか?
A:AIを目の敵にする向きもあるようですが、やましいことは一切ありませんし、社員の幸せにつながると判断できるなら使うに決まっています。公表する方向でお願いします。ただ、ハルシネーションを最終確認で修正できず過少申告が起きた場合の責任についてはどうヘッジすべきでしょう?
S:そこが私の出番です。御社と御社のお客様の間で取り交わされる契約書に、AIの特性を理解したうえでの免責条項を盛り込みます。同時に、万が一、AIが無限ループや誤送信の連発といった挙動を見せた時のため、キルスイッチも用意しておきましょう。さらに、監査への備えとして、AIの思考プロセスやログを改竄不可能な形式で7年間保存するように設計しましょう。
A:先生……正直、私のAI経験値は乏しいです。でも、この業界の人手不足と職人芸の消失を食い止めるにはこの方法しかないと思っています。イニシャルコストとしての1,000万円は弊社にとって大きな金額ではありますが、中途半端なシステムを入れるより、この弊社に特化したAIに賭けるほうがトータルコストは抑えられると思っています。
S:その志、私も記憶にとどめてまいります。最後に、何をもって今回のAI導入の「成功」と定義しますか?
A:単なるコスト削減ではありません。新人も短期間でベテランと同等の精度で書類を作れるようになり、ベテランの職人芸が若手にも無理なく継承されていくこと、これに尽きます。
S:わかりました。本日お聞きしたお話は、弊社のパートナーエンジニアBに正確に伝えておきます。私は御社がお客様に交付するAIに関する重要事項説明書や特約書面の作成を担当しますので、実際の追加学習や運用支援についてはBからあらためて詳しくご説明さしあげることになろうかと思います。ご挨拶を兼ねて、1度、zoomミーティングをさせていただきたいのですが、よろしいですか?
A:ええ、もちろんですよ。優秀なエンジニアさんをお願いしますよ!
S:ありがとうございます。この後、Bに連絡したうえで、ミーティングの日時等をご提案させていただきます。引続き、よろしくお願いいたします。
A:はい、お願いします。

AI活用による通関事務補助に関する重要事項説明書(案)

  1. 本サービスの概要
    当社では、通関申告書類の作成および審査業務の精度向上と迅速化を目的として、自社専用の自律型AI(エージェンティックAI「海鴎」)を導入しております。本AIは、過去の申告実績および最新の関税関連法規を学習しており、複雑な品目分類(HSコード)の判定補助等を行います。
  2. 情報セキュリティとプライバシー保護
    本AIは、外部のクラウドサーバーに情報を送信しない「完全ローカル環境(サンドボックス)」にて動作しております。お客様からお預かりしたインボイス等の機密情報がAIの学習データとして外部に流出したり、他社のAIに再利用されたりすることは一切ございません。
  3. 人間による最終確認(Human-in-the-Loop)
    AIによる出力はあくまで「下書き」および「検証補助」として位置づけております。全ての申告書類は、当社の国家資格を持つ通関士が最終的な内容確認および審査を行い、その責任において申告を実施いたします。AIが単独で申告を行うことはございません。
  4. AIの特性と免責事項
    AIはその性質上、稀に事実と異なる回答や誤った推論(ハルシネーション)を行う可能性を完全には排除できません。当社は、AIの出力を通関士が厳重に検収することでミスを未然に防ぐ体制を整えておりますが、万が一、AIの予期せぬ挙動等に起因して損害が生じた場合においても、当社は通関業法および締結済みの委託契約に基づき、適切な責任範囲において対応いたします。
  5. 運用ログの管理
    AIの思考プロセスおよび判断の根拠は、全て改竄不可能なログとして保存されており、事後の監査や照会に対して高い透明性を確保しております。

通関事務におけるAI利活用に関する特約(案)


本特約は、乙(通関業者)が甲(委託者)より受託する通関事務において、エージェンティックAI(以下、「本AI」という。)を利用する場合の条件を定めるものである。

第1条(本AIの定義と利用目的) 本AIとは、乙の管理下にあるローカル計算機環境(サンドボックス)内において自律的に動作する、通関実務補助用ソフトウェアを指す。
2 乙は、品目分類(HSコード)の判定補助、申告書類のドラフト作成、及び関連法規の照合等の事務補助を目的として本AIを利用できるものとする。

第2条(情報セキュリティの担保) 乙は、本AIの運用にあたり、甲より預託された機密情報が外部のクラウド環境や第三者のAI学習データに送信・転用されないよう、物理的及び論理的に隔離されたローカル実行環境を維持するものとする。
2 本AIが外部の動的情報(関税率表等)を参照する場合、乙は特定の暗号化された通信経路のみを許可し、甲の機密情報の流出を防止する措置を講じるものとする。

第3条(通関士による最終検収) 本AIによる出力は、あくまでも事務補助の一環であり、乙は全ての申告内容について、通関業法に基づく国家資格を有する通関士による最終的な確認(以下、「検収」という。)を必須とする。
2 甲に対する申告結果の責任は、本AIの出力如何に関わらず、最終的に検収を行った乙が負うものとする。

第4条(AIの特性に伴う免責) 甲は、AIの技術的特性上、生成される回答に一時的な誤謬(ハルシネーション等)が含まれる可能性があることを了承するものとする。
2 乙が前条第1項に基づく適切な検収を行っていたにもかかわらず、本AIの予期せぬ挙動や未知のバグに起因して生じた直接的又は間接的な損害について、乙の故意又は重過失がない限り、乙は甲に対し、その賠償責任を負わないものとする。

第5条(透明性とログの保存) 乙は、本AIが申告判断の根拠とした参照資料を、甲の求めに応じて提示できる体制を整えるものとする。
2 乙は、本AIの思考プロセス(Chain of Thought)、参照した法規・事例の履歴及び検収者による修正履歴を、改竄不可能な形式で、本申告に係る許可日の翌日から7年間保存するとともに、これら証拠資料の体型的管理体制を確保するものとする。

Seagullプロジェクト・アフターサポートに関する覚書(案)


本覚書は、甲(A通関法人)及び乙(エンジニアB)との間において、実装後のAIシステム「海鴎」の保守・運用に関する合意事項を定めるものである。

第1条(基本原則:定額保守料の不発生) 乙は、本システムの運用にあたり、月額固定の保守費用を請求しないものとする。甲は、第2条から第4条に定める特定の事由(以下、「有償トリガー」という。)が発生した場合に限り、乙に対しその対価を支払うものとする。

第2条(有償トリガー①:緊急復旧支援) 本システムの物理的故障、停電又はOSの致命的なアップデート等により、AIの機能が停止し、甲によるセルフリカバリが不可能な場合、甲は乙に復旧を依頼できる。
2 前項の場合、乙は、バックアップデータからの知能移植及び環境再構築を行い、その作業工数に応じたスポット費用を請求する。

第3条(有償トリガー②:知能の再学習・アップデート) 甲の業務において蓄積された修正ログ(JSONL等)に基づき、AIの行動基準や推論精度を最新化(ファインチューニング)する必要があると甲が判断した場合、乙は有償でアップデート作業を行う。
2 前項の場合、乙の報酬額は、データの整形及びモデルの重み調整に係る工数に基づき、甲乙が別途協議のうえ定める。

第4条(有償トリガー③:機能拡張およびエージェント増築) 既存のワークフロー(例:NACCS連携)に加え、新たな外部サイトの監視、新形式の書類作成又は他部署への展開等、当初の設計にない機能を追加する場合、乙は新規開発としてこれを行う。
2 前項の場合、乙は、甲の生産性向上のための設備投資として、個別に報酬の見積もりを提示するものとする。

第5条(甲によるセルフメンテナンス範囲) 乙は、甲が無償で運用を継続できるよう、以下の機能を初期実装時に提供する。
(1) 自動バックアップ機能 外付けメディアへの日次自動書き出し
(2) RAG自主更新 指定フォルダへのPDF投入による、AIの参照知識の自動アップデート
(3) 簡易再起動マニュアル 軽微なフリーズ等に対する物理的・システム的復旧手順。

こんな感じの条件で弊事務所と同盟を結ぶエンジニアさんおられませんか?

ひかり

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