Labor law Startups Subsidy

事例で学ぶフリーランス法|クイズで実務をマスター!発注時の明示義務と適正取引ルール【2024年11月施行】

1 フリーランス法第3条(明示義務)の重要ポイント|翻訳委託における明示事項をクイズでマスター!

問 翻訳業を営む個人事業主A(従業員を使用していないものとする。)が、従業員40名を抱える製造メーカーBから、新製品のマニュアルの英語翻訳業務を依頼された場合(以下、「本件委託」という。)に関する以下の記述のうち、特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」という。)に照らし正しいものを組み合わせたものはどれか。

ア BはAに対して本件委託をした場合、原則として、直ちに、フリーランス法3条1項所定の明示事項を、書面又は電磁的方法によりAに明示しなければならないが、Bが契約相手としてAを選定した理由も明示事項に含まれる。
イ BはAに対して、直ちに、氏名・名称等本件委託の当事者双方を識別できる情報を明示しなければならないが、登記簿上の名称や戸籍上の氏名と一致している必要はなく、当事者間においてトラブルにならない程度に誰が当事者かを認識し得る情報を明示すれば足りる。
ウ AB間で2025年12月22日に本件委託について口頭合意が成立し、Bの社内において同月25日に業務委託契約書作成事務が完了し、同月27日、予定どおりAB双方が対面で契約書を取り交わした。この場合、BがAに対して明示すべき業務委託をした日とは、契約書の取り交わし予定日として設定された同年12月27日である。
エ Bの新製品の日本語版マニュアルの著作権は、Bの社内規程により職務著作としてBに帰属しているが、Bとしては、今後の販売活動の円滑な遂行のため、二次的著作物たる英語版マニュアルについてAに発生した権利の譲渡を受けておくこととした。この場合、BはAに対して、提供されるべき英語版マニュアルの内容・仕様等を明示することに加えて、譲渡の対象に著作権法27条・28条の権利が含まれるか等、AからBに譲渡される二次的著作物に係る権利の範囲も明示しなければならない。
オ Bは本件委託の完結後も海外向け製品を販売する予定であり、本件委託を適切に遂行したAに対して今後も翻訳業務を発注しようと考えている。BのAに対する委託内容には共通する項目が多い場合であっても、フリーランス保護というフリーランス法の目的に鑑みれば、委託の都度、個別の明示が必要と解するほかない。

1 アイ  2 アオ  3 イウ  4 イエ  5 ウエ

2 フリーランス法第4条・第5条をRPG開発事例で攻略!ベホイム!ベホイム!

問 ゲームエンジニアとして個人で活動するA(従業員を使用していないものとする。)が、2026年5月27日、従業員50名を抱えるゲーム制作会社Bから、オンラインRPGの運営支援のための「僧侶AIのアルゴリズム開発」を契約期間1年で依頼された場合(以下、「本件委託」という。)に関する以下の記述のうち、特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」という。)に照らし正しいものを組み合わせたものはどれか。

ア Bは本件委託に際して、給付の内容を「僧侶AIの開発一式」とだけ明示していた。Aがパーティーメンバーを支える最強の回復役という事前説明に即した形で、合理的なアルゴリズムを実装して成果物を納品したところ、その半年後、Bはユーザーアンケートの結果を理由に、「聖なる祈りの効果が切れた場合、HPの回復・状態異常の治癒よりもバフの更新を優先するロジック」への変更をAに命じた。不当な仕様変更であると抗議するAの気持ちはわかるが、当初の委託に含まれる微調整にすぎないため、AはBに対して追加報酬を請求することはできない。
イ Bは本件委託に際して、当該オンラインRPGは2026年8月2日からサービスを開始するが、ゲーマーが僧侶AIに期待する行動が現時点では不明であるため、給付の内容は、定期的に実施するアンケート結果等を踏まえて、サービス開始から半年後の2027年2月2日をもって僧侶AIの仕様を具体的に確定することとし、その他の明示事項とあわせてAに業務用Slackで通知した。翌年2月2日、Bは「聖なる祈りバフが2分の経過によって切れた場合、回復・治癒よりもバフの更新を優先する」という具体的なアルゴリズムを決定したうえで、「2026年5月27日付発注書の記載事項を補充するものです」という文言とともに再度AにSlackで通知した。かかるBの対応は、業務委託事業者による給付の内容の明示として適切である。
ウ 本件委託の成立後、Aは直ちにVisual Studioを用いたUnreal Engine上でのBehavior Treeの実装に従事し、2026年9月25日、プログラムソースコード及びアルゴリズム解説書をGit経由でBに納品した。その後、Bにおいてテスターによるサンドボックス環境下での検証が始まり、同年10月16日、すべての検収が完了したとする。この場合、BはAに対して、10月16日から30日以内のできる限り早い日までに、本件委託に係る報酬を支払わなければならない。
エ 本件委託の成立後、Aは直ちにVisual Studioを用いたUnityでのBehavior Treeの実装に従事し、2026年9月25日、プログラムソースコード及びアルゴリズム解説書をGit経由でBに納品したが、ゲームエンジンがUnreal Engineに変更されていたことを忘れていた。Aによる給付は債務の本旨に従ったものとはいえないが、フリーランス保護という法目的に鑑みれば、かかる場合であっても、Bは9月25日から30日以内のできる限り早い日までにAに対して報酬を支払わなければならない。
オ 本件委託が、BがゲームパブリッシャーCから受託した僧侶AI開発業務をAに再委託するものであった場合において、Bが再委託の際、Aに対してゲームパブリッシャーCの名称、BC間の元請契約の報酬支払期日及び再委託である旨を明示していたときは、AB間の本件委託に係る報酬支払期日を、BがCから支払いを受けた日から30日以内のできる限り早い日とすることができる。

1 アオ  2 イオ  3 ウエ  4 ウオ  5 エオ

-Labor law, Startups, Subsidy